編集後記(2000年 3月17日号)


【No.0264】 このコーナーは「週刊ゆたんぽ」をパクって作られています。


 今日はひとネタ完結編。 もしよかったら、本日号を友人知人方に紹介してあげて下さいませ。

●告発アワー

 まずはこの新聞記事をごらんいただきませう。

 (岡山)県教委は(1月)28日、女性教員にセクシャル・ハラスメント(性的嫌がらせ)をしたとして、倉敷市内の小学校長(60)を同日付で 1ヶ月の停職処分にするとともに、同校長から出されていた辞職願を同日付で受理した。 県教委がセクハラで教職員を処分したのは初めて。

 県教委によると、同校長は平成 9年ごろから、宴会の席で女性教員の膝や肩にさわったり、校内でみだらな発言を繰り返し、多くの女性教員が不快な思いをしていたことが確認された。 倉敷市教委の事情聴取に対し、同校長は「連帯感を高めるためにとった行動が、女性教員に逆の方向にとられたのは誠に残念。 しかし不快な思いをさせたことは反省している」と話したという。

 これは 1月29日?の山陽新聞に掲載された記事。 実はオレはこの問題が明るみになる前から動向を見守っていた。 ちょっと事情があって詳しくなってしまったのだ。 母が倉敷市で小学校の教員をしているもので、決して他人事ではない。

 この校長を仮にポル・ポトと名づけよう。 命名は知り合いの先生。 セクハラだけでなく、若い教員にお茶汲みを強要したり、いわゆる独裁状態だったのだ。 何とも的を得たネーミングだったのでそれに従うことにする。

 どうして 1日分を割いてこの話題を扱うかって、報道されていない「裏の部分」がかなり複雑に入り組んでいるからなのだ。 春は出会いと別れの季節、ここらでいっちょう人間関係というものについても考えていただければ幸いですなぁ。

●敵の味方は敵

 ポル・ポト氏は校長職に就いてから長く、校長会の会長も務めているらしい。 校長のイスにすっかり落ち着いてしまい、怖いものなどなくなってやりたい放題だったそうである。 学校行事のたびに新聞社とケーブルテレビを呼び、気に入らない教員は権力にものを言わせて左遷するなど、探せばいくらでも横暴ぶりがうかがえるらしい。 ので、改めて取り上げることはしない。

 セクハラも前々から日常的にしていた。 女性教員の苦悩も続いていたらしい。 ポル・ポト氏は今春に定年退職の予定で、あと 1年我慢すれば地獄から脱出できるはずだった。 しかしセクハラはエスカレートする一方。 教頭をはじめとする男性教員に相談しても役に立たない。 ポル・ポト氏の逆鱗に触れることを恐れていたから、という憶測が立つ。

 昨年 9月、女性教員 4人が中心となって倉敷市教委に相談した(新聞報道では 3人)。 もちろん女性教員の総意を受けてである。 ところが市教委はポル・ポト氏の味方であった。 ポル・ポト氏は定年退職後にナントカ功労賞を受賞する予定になっていて、今さら不祥事を起こされてはたまったもんじゃない。 結果、「そのような事実はありませんね」「はい」で片付けてしまったのだ。

 その後、数回市教委に訴え出るが効果なし。 逆に、チクられたことに気がついたポル・ポト氏はますます嫌がらせをエスカレートさせていったという。 そこで市教委を飛び越えて県教委に相談を持ちかける。 市教委は監督責任を問われてあたふたし始めた。 このころ県議会の代表質問で共産党の議員が「このような噂がありますが〜」と発言、やっと問題が公表されたのだ。 そしてこの日の処分発表に至る。

●公務員のプライバシー

 事実関係は飲み込んでいただけただろうか。 市教委の対応のまずさが問題をややこしくしたことはご理解いただけると思う。 さらにマスコミの包囲網もあって、何の関係もない子どもたちを巻き込まないようにしなければならなかった。 たかがセクハラ、ではなくなったのだ。

 教職員の横のつながりはみなさんのご想像よりはるかに強い。 長年教員を務めると、どの小学校に行っても必ず知り合いがいるほどになるという。 ので、夏ごろには誰もが知るところとなっていた。 もうマスコミに漏れるのも時間の問題。 どこかで漏れたらしく、女性教員の自宅に朝日新聞が 1日に何度も取材に来たこともあったという。 女性教員って被害者だよ。 こんな状況で日々の学級経営がうまくできるはずがない(経験者ハ語ル)。

 つまり、問題がおおやけになることを市教委が恐れたため、被害者自身にとばっちりが飛び、解決に無駄な時間がかかったのだ。 県教委はちゃんと調べていて、市教委の教育長と教育次長、学校教育部長の 3人が厳重注意処分となっている。 ついでに教頭も職責を問われて厳重注意となった。

●線引き論

 さて、「停職 1ヶ月」をどうみるかというお話。 重いとみるか軽いとみるか。 明らかに軽いのだが、新聞報道を見る限りではケチをつけることはできない。

 「膝や肩にさわる」「みだらな発言を繰り返す」だけだったら停職 1ヶ月くらいかもしれない。 でもオレは、そんな程度じゃなかったことを人づてで聞いている。 だから「軽い」と言っているのだ。

 市教委に何度も相談した際、報告書を書くよう指示されたらしい。 口先だけの訴えではとりあってもらえないから仕方ないんだけどね。 当然細かく書かなきゃいけないわけで、「誰が」「何月何日のいつごろ」「どこで」「どんなことを」されたか、ひとつひとつ書くのはかなり辛いことだっただろう。 思い出せないという意味ではない。 挙げていけばきりがなく、思い出させること自体がまた心を傷つけるのだという。 んなわけで、報告書には事実の半分以下のことしか書いていない。

 もしひとつ残らず報告書に書いたらどうなるか。 ポル・ポト氏は懲戒免職処分になり、老後の生活が吹き飛んでしまう。 そればかりか強制ワイセツ容疑で刑事事件に発展するかもしれず、それこそ「破滅」である。 いくら何でも学校長、少しはお世話になったのだからと報告書に手心を加えた。

 ポル・ポト氏も、訴えのあった事実を全て認めてしまってはたまらない。 女性教員サイドと同じことを考えていたのだろう。 「セクハラ」で片付けられるところだけ認め、それよりエスカレートした部分は全て否認する戦術をとった。

 ここでまた市教委が、ポル・ポト氏の言うことをそっくりそのまま聞いちゃったのかなぁ。 しかも辞職願を受理し、退職金がしっかり払われる運びとなった。

●まとめ

 事実だけをつらつらと書いてみたけど、みなさんはいかがお感じかな。 オレ自身、近くでこういう問題が起きたのはもちろん初めてだったが、勉強になったことがいろいろあった。 しいて挙げるとすると…

●男が書く論評

 おまけ。 2月 3日の山陽新聞の「取材メモ」に、記者(男)の言葉があった。

 セクハラは行為を受けた本人が不快感を覚えれば成立する。 どの職場、社会でも起こりうる問題で、他人事では済まされない。 男性がセクハラに対する意識を高めるのはもちろんだが、男女の認識のずれを埋めるため、お互いが率直に話し合える環境づくりの必要性を感じた。

 この記事に母はひどく怒っていた。 「認識のずれ」って何よ。 確かにオレも思った、こんな書き方じゃ女も悪いと言わんばかりだ。 たぶん記者も、新聞報道をそのまま事実として受け取ったのだろうなぁ。 しかも「〜できる環境づくり」なんてキレイゴト言っちゃってさ。 対岸の火事と思って見てるんだよどーせ。

 「男」と「女」がある限り、セクハラをなくす方法なんて存在しない。 しかし「加害者」「被害者」と読み替えると、「第三者」という立場が発生する。 我々がもし第三者の立場になった時どう対処していけばいいか、くらいはこの機会に考えてもいいんじゃないだろうか。

●二匹が斬る(一匹目)

 こういう大きなテーマをオレひとりでしゃべって終わりというのはちょっとアレなので(どれだ)、人生の先輩お二人にコメントをいただきました。 人選は全くの独断です。 まず女性代表としてなぎなぎさん。

 こういうことがあったのですね。まだまだそんなポル・ポト君がいるとはオドロキです。 でも「セクハラ=イジメ」というのはわかりやすく、かつ的を得た例えですね、いいぞ!

 それはともかく、私の今までの職場というのは、あまり一般的ではなく女性上位の業界でしたので、セクハラ経験はないのでアレなんですが。
 こういう問題では女性はツライですよね。 いやなことや言いたくなことをまた思い出してえぐるように言わなきゃなんないんですから(レイプとかも)。 それが嫌で言えない人もいっぱいいるんだろうなぁとか思います。 なのに山陽新聞の記事というのは無茶ですね。 学級新聞以下じゃないですか。

>お互いが率直に話し合える環境づくりの必要性を感じた。
 そんなことを話し合える所じゃ、セクハラなんてねーよ!です。
 この前までいた会社がそうなのですが、新婚の男の子にねぇさん社員が
「子供はまだ? 頑張ってる? 作り方まちがってるんとちゃうの?」
とかでかい声をかけられて
「いやぁ、あってると思います‥‥‥それって逆セクハラっすよぉ…」
「じゃあ私にも聞いてよ!」
とかいう下品な?ワケのわからん会社でした。 これはこれで基準はどうなってるんや、と思うのですが。

 大切なのはお互いの信頼関係ですよね。 人間同士のつながりがきっちりと確立されているから、別に何を言い合おうとそんなことはどっちでもいい‥‥‥と。

 でもまぁこれは女性を対象にした人材派遣会社の内部なので、からかもしれません。 男性社員も女性の気持ち・考えにならないとやっていけないからでしょうね。 今年から新しく労働法にいわゆるセクハラ新法もできましたし、これからは遠慮なくバシバシ言える女性が増えてきてほしいです。

 が、しかし。 「そんなのセクハラじゃねーよ゛」という程度のことでギャーギャー騒ぐバカ女がいるのも事実。
 無断欠勤をしておいて、休んだ理由をきくと「生理痛で…」。 無断、を注意すると言いにくいことをいわされるのはセクハラやぁ!‥‥‥違う…。 言う時は「体調不良と言えよ、大人なんだから」なのです。
 といったバカ女が本当に困っている女性の足を引っ張っているのも事実。 触って喜ぶバカオヤジはまだカワイイですが(誤)、こういう勘違い女は始末が悪いです(更に誤解を生みそう)。

 とまぁとりとめなくなりましたが。 こんな感じでしょうか。
 これはしかし、反響がまたきそうですね。

 ありがとうございました。 なるほどね、「お互いの信頼関係」は大いに納得。 小学校の件では信頼関係がちゃんとできていたかというと、もちろん答えはノーでした。 職場にセクハラが発生したとき、まず信頼関係の欠如を嘆いてみるのは意味のあることかもしれませんね。

 バカ女の話は割と貴重かも。 男性が女性をばっさり斬っては解決にならないのですが(笑)、カットせずに掲載しました。 マスコミの中途半端なセクハラ報道の弊害ではないかという気がします。 「セクハラ」の言葉を引き合いに出して人間関係から逃げているようにも見えましたけどね。 男性諸君、あなたのハートには何が残りましたか?(誤)

 「3倍」だけはカットさせていただきました。 「めんつゆ」が思い浮かんだので(笑)。

●二匹が斬る(二匹目)

 続いて男性代表としてぱんどらさん。 逃げも隠れもしないそうなので、ご意見などある方はメールを送りましょう。 宛先はこちら

(前略)

 まず、新聞記事の事実は事実ではない!という事は知っているつもりです。 マスコミ関係の仕事もしていましたし、個人的にも経験しましたから。
 新聞も残念ながら読み物です。 部数勝負です。 限られたスペースに、その時点で判明している事を書くんですから、書く方もどうしても突っ込んだ書き方は出来ません。 新事実なんてのが出てきたらひっくり返ってしまいますし、謝罪文なんて載せたくないですからねぇ。 出来るだけ「誰々によりますと…」と逃げを打った書き方になります。
 それに、読んで読者に感情を持ってもらわなければなりません(苦笑する、怒る、ほのぼのする等)。 ですから、新聞 10紙集めて同じ出来事の記事を読んでもそれぞれ違います。 ヘタすると、正反対の印象を受ける物さえあったりします。
 よって、新聞報道は 3倍に解釈して読め!はいい事だと思います。 私は、新聞報道は書いて有る事を鵜呑みにせず、膨大な行間を読め!くらいのほうが良いかと思います(私はそうしてます)。

 あの新聞報道は、読み手の意識によって、色々なとらえられ方の出来る記事になってます。 ここであえてその手法の解説はしませんが、たぶんセクハラについて意識の低い人は「ばかな校長だなぁ」が第一印象でしょう。
 何故ここまで、こんな事を書いたかというと、今回のこの件が、新聞報道というものの正体を知ってもらういいチャンスだと思ったからです。 知っている人にとっては「何をいまさら」でしょうが、社会に出たことのない、一般的な高校生もいる事ですし、ご勘弁下さい。

 さて、このセクハラ事件に対するコメントですが、私は諭吉氏の書いている事に賛成です。 実はこの一言で終わってしまいます。 事実がこれほどの内容であるのなら、当然懲戒免職でしょう。 被害者の方の精神的な苦痛は、セクハラを受けている時も、その後の処理の時も、相当なものであったはずです。
 私は横暴な権力者ってのは大嫌いです。 100歩譲って、横暴でなかったとしても、連帯感を高める為のスキンシップという考え方自体私は気に入りません。 連帯感を高めたいのであれば、真剣に向き合って付き合えばいい事だと思います。
 「君の言っている事は、判るぞ」“とんとん”で、連帯感が出来ると思ってるのは、相手を低く見ている証拠です。 でなきゃその程度の事しか考えられないトップということでしょう。 こんなのが校長になれる事自体、問題ですね。 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ってのが理想ですが…。

 ここまで書きましたが、これはあくまでも被害者の立場です。 加害者側に立つと、別の側面もあるかも知れません。 言い分もあるでしょう。 それが傲慢であったり、思い込みであったとしてもです。
 それに、この校長の家族には、何の罪もない事かも知れません。 両親、妻、子供、孫(いるかもしれません)が、これにより、迫害される事もあるかも知れません。 それにより、苦難の人生を歩む事になるかも知れません。
 立場が変われば、正義も変わるものです。 これは事実です。


 話はあちこちに飛びます。 「じゃおまえの意見、主張、主義は無いのか」「日和見主義か」と言われそうですね。
 私はたまに、こう言われます。 「結構、クールというか、冷たいんだね」と…。
 マブダチには、こう言われます。 「色々聞きたかったんだ」
 何故かというと、最後に必ずこう言うからです。 「これはあくまでも俺の考えた事、最後に決めるのは君だよ

 そう。 今回のコメント、実はここにいきつくのです。 人それぞれ考え方が違うものです。 色々な人とひとつの事について話し合ってみましょう。 耳に痛い事、受け入れられないような事も、一度すべて飲み込んでみましょう。 あらゆる方向から物事を見てみましょう。
 そして自分の意見を自分の責任において出しましょう。 ただし、それは人に押しつける物であってはいけません。

 今回の事を否定するものではありませんよ。 ただ言いたかったのは、人の意見に「そうだそうだ」だけではいけないという事です。

 人が生きていくという事は、必ず何かの犠牲の上で成り立っているという事だけは、肝に銘じておきましょう。 そして、この一言を常に頭にとどめておきましょう。
 「天知る、地知る、我知る」
 天は知っている、地も知っている。 何よりも、自分自身が知っている。
 そう、その人自身は心で判っているのです。それがいい事なのか悪い事なのか。

 事実はひとつ、正義は無数、正しい答えも人の依って立つ所によって無数。 自分で考え、今後の行動にどう反映していくか、自分自身で決定しましょう。
 その全責任は自分にあり、また、出した答えは必ず誰かを不幸にする可能性があるのです。 そして、人は進む事をしなければならないのです。

 混乱してしまったらごめんなさい。 でも少しは私の考え方を判って頂けたでしょうか。 賛成してくださいとは言いませんよ(当然です)。


 私は、この校長に退職金が出たのはいい事だと思います(家族の為にね)。 そして、今後マスコミでもっと叩かれるべきだと思います。 勿論、周りで関与した関係者ももっと叩かれるべきでしょう。 今進行中のセクハラが沈静化するくらい叩かれてほしいものです。
 また、被害者の方も「何故自分がそうなってしまったのか、そうされてしまったのか」という事を冷静に分析すべきだと思います。 そして、今後どう対処していけばいいのかを前向きに考えるべきでしょう。 結果には必ず原因があるのですから。 理不尽だと思う事も何かあるはずです。

 私はこうしています。
 過去は戻ってきません。 常に前を向き、自己責任で進みます。
 だって、私の人生なんですから。

 切るに切れずほぼ全文掲載(爆笑)。 こんなにたくさんありがとうございました。 このようなタグ指定でよかったでしょうか(この場で聞くな)。

 退職金の話、言われてみればごもっとも。 当事者たちは口々におかしいと言っていましたが、家族のことを考えると正しい意見だと思います。 被害者の人権・加害者の人権についてあれこれ話題になる今日このごろですが、この側面はもっとクローズアップされてもいいように思いますね。

 「叩かれるべき」について補足。 各紙集めたんだけど、読売新聞は実名、倉敷新聞が小学校名だけ、あとは全て「倉敷市内の小学校長」という表現だった。 また朝日新聞は、扱いは小さいながら全国版に載っていた。 処分発表ですんなりおさまったところがマスコミ受けしなかったのかもね(笑)。

●後日談

 もう騒ぎが終わっちゃったので(つまらなそう)、この問題はひと区切りとしましょうか。 でも「私はこう思う」という意見はげしげし募集します(どんなだ)。 たぶんもれなく掲載しちゃうので(笑)、気軽に投稿して下さいね。 さりげなく命令形。